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「君は、最後の最後に世界を裏切り、世界に裏切られた!!!」
「君の願いは、かなえてはいけない!!」
「ここから先の事はお前には関係ない!お前の存在が間違っていたんだ!
お前は世界からはじき出されたんだ、ナナリーは俺が!」
二人は互いに銃を向けて、撃った。
たった一つの光
「・・・・・・・ははっ・・・・・・あははっあはははははは!!!」
笑い声は洞窟の中で反響を繰り返す。
目の前に横たわるものをスザクは上から見下ろした。
黒の騎士団の総帥、ゼロ。
胸元から溢れる血は黒い服にジワジワと染みを作っていく。
ゼロ自身が自らの胸元につけたサクラダイトも機能しないことから、やはりただの脅しだったのか、とスザクは冷静に考えていた。
「こいつは生きてちゃいけなかったんだ。」
カツンとそばに転がる、ゼロの持っていた銃をスザクは蹴り、それから後方で呆然と見ているカレンの方に銃口を向けると、何のためらいも無く引き金を引く。
いつもの彼女ならそれくらいよけることも出来たが、目の前で起きたことがあまりにも衝撃的だった為、少しだけ反応が遅れ、足に銃弾があたってしまった。
「いっつ・・・!」
「君もそのまま戦場に戻られたりしたら困るんだ。ここで死んでもらう!!」
「・・・あんた!自分で親友を殺しておいて良く平然としていられるわね!」
「あんな男、親友でもなんでもない!君は、君たちを騙していたこいつを庇うというのか!」
「それでも、通過点に過ぎなくても、彼が嘘をついたことは無かったわ!」
「みんな馬鹿だ!君も日本人も、あんな男に騙されて!」
そう言って、再びスザクが撃った弾はカレンの心臓を撃ちぬき、そのまま静かに地面へと倒れた。
スザクは二つの死体を無表情で眺めてからそのまま戦場へと戻るべく、入り口へと進み始めた。
「全てが終わったよ、ユフィ。」
洞窟の入り口を抜けると広がる空は雲ひとつ無く、澄み渡っていた。
それはまるでスザクを祝福しているかのようで、思わず眩しげに彼方に見える太陽を、目を細めて眺めた。
そこに、太陽を背に坂を上ってくる一人の少女が視界に入った。
白のパイロットスーツは所々破け、髪の毛から滴る水滴は地面を濡らす。
肩で息をする少女は己の前に立ちふさがっているスザクに気が付いて僅かに金色の瞳を見開いた。
「お、まえ・・・」
「君・・・確か、ガウィンの操縦をしていた・・・生きていたのか!」
「ゼロはどうした!どうして貴様がここにいる!あの子は、あの子は無事なのか?!」
「俺がゼロを殺した。」
「な・・・!」
「ゼロを倒す為にここに来た。俺がこの手であの男を殺した!」
「おま、え・・・おまえ、ここで何があった。なぜこいつを殺した!」
「そいつは生きていてはいけなかったから、俺が殺した。」
「こいつは、誰よりも、優しい世界を望んでいたんだ。
弱者に優しい、そんな世界を叶えたかっただけなんだ。
それが、どうして、お前に殺されなければならない?!」
「それなら、テロなんかしないで、もっと違った方法があったはずだ。
そんな方法で手に入れても意味はない!」
「ふざけるな!!!貴様・・・まだそう言う事をいうのか!
・・・なら、良いだろう。お前に良いものを与えてやる。
お前は何を言っても理解の出来ない頭のようだからな。
可哀想なお前へ私からのプレゼントだ。」
そういうや否やC.Cの額は赤く光る。
「さぁ、復讐だ。お前に最高の絶望を与えてやる。」
「何を!!!」
あたりは白く強い光に包まれ、スザクは思わず目をつぶる。
落ちていく感覚の中で響くのは、高笑いに似たあの女の声。
「あはははは!落ちろ!絶望の淵まで!嘆き泣き喚け!そして懺悔しろ!」
そして浮遊感も無くなり、足元もどこかおぼつかないながらもしっかりと地面を踏みしめている感覚を受けて初めてスザクは目を、見開いた。
始めに目に映ったのは、煌びやかな調度品。
先ほどまで洞窟にいたはずなのに、どうみても室内にいるように思えたスザクは自分の置かれた状況が理解できなくて眉を寄せる。
あの女、何をしたんだ!
俺はこれから戦場に戻って黒の騎士団を潰さなくてはいけないのに!
そう思って、一歩踏み出したときにスザクを襲ったのは違和感。
目線が、低い・・・?
そう思って視線を一度床に落とせばいつも以上に近く感じる床。
それからすぐに自分の着ているものに目がいく。
真っ白な服。まるでユーフェミアの騎士になったときに着ていた棋士服に似た感じがある。
急いで手を見えるところに持ってくれば、自分の肌より幾分白いブリタニア人特有の肌が・・・
「な、んで・・・?!」
そう声に出してみれば、昔聞いたことのある者の、声。
どうして自分の口から聞こえるんだ?!
そう言って慌てて部屋の壁にかけられた大きな鏡の前にスザクは走りよった。
そこに移るのは、小さい頃の、ルルーシュ。
スザクの心情を表すかのように鏡に映るルルーシュは、大きく目を見開いてスザクと同じようにガラスに手を置いて呆然と鏡に映る自分の顔を見ている。
「お兄様!」
そう言って入ってきたのは、見慣れた彼の妹で、スザクは元気に飛びついてくる彼女を見たことが無かったから驚いて腰の辺りにある彼女の頭を見つめた。
「どうして・・・」
さぁ、復讐の始まりだ!