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今回は『変わらない想い』の続きです。
かなり無理やり続きにした感じが出ているような気が・・・いや、そんなことないさ!
とりあえず今回も『1』を読まなくても読める話です。
やったら長くて・・・ビックリデス;
そして白主従好きさんには注意が必要なお話です。
このサイトのトップに『白主従に厳しい』と書いてるのに未だに書いていないな、と思ったところから出来たものになります。
それにしても真っ白なユフィが私にはかけないことが判明・・・
何故か黒くなるんです・・・難しい;
「国民の皆さん、こんにちは。エリア11副総督ユーフェミアです。今日は重大な発表がございます!」
そう言って画面に映ったのは、桃色の髪をした第三皇女ユーフェミア。
その脇に控えるように立つのは彼女の騎士、スザク。
画面に映るユーフェミアは微笑んでいる。
これから何を言うのか、誰もがテレビの前で固唾を飲んで見守る中、ユーフェミアは再び口を開いた。
「皆さんはご存知でしょうか?
7年前、この地で亡くなった皇族のこと・・・
エリア11と呼ばれるより以前、まだ日本と呼ばれていた時、わたくしの兄と妹がこの地へ送られ、息を引き取りましたこと。
兄はまだ10にも満たない年齢。妹は送られる少し前に起きた後宮でのテロで、足と目が不自由な体に・・・
二人が送られ1年経つか経たないかという頃、ブリタニアは日本へ攻め込み、二人はこの地で戦争に巻き込まれ亡くなりました。
しかし、それから10年経った現在、亡くなったとされる二人が生きて、いまだこの地にいることがわかりました!
どんなに辛かったでしょうか?どんなに心寂しかったでしょうか・・・
二人のことを思うとわたくしは、悔しいです。もっと早く見つけ出せれば二人がそんな事を感じることはなかったのに。」
悲しそうに顔を歪めて俯くユーフェミアを心配そうにスザクが見つめる。
「今からでも遅くないはずです。二人には、幸せになって欲しい。
遅くなりましたが、皆様にご紹介いたします。」
そう言って改めて背筋を伸ばすと嬉しそうにユーフェミアは高らかに宣言した。
「第十一皇子第十七王位継承者ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア、そして第五皇女ナナリー・ヴィ・ブリタニアです!」
沢山のフラッシュが二人を向かえ、中継をしているカメラは二人の姿を捉える。
黒い皇族服を纏う二人は、カメラの方に顔を向けると柔らかい笑みを浮かべた。
変わらない想い 2
アッシュフォード学園の学園祭は混乱のまま終了した。
エリア11の副総督であるユーフェミアがお忍びで来ていたところを周りにバレ、そして『行政特区日本』発言。
ミレイによって多くのメディアを集めてられていた為に急遽全てのテレビ番組は生中継に切り替わる。
そして学園内では滅多に近くに感じることの出来ない皇族と言う存在に近づこうと押し合う客から負傷者が多数出るということにまで到った。
やっと騒ぎも静まり、ルルーシュはホッとして周りを見渡すと、そこには見慣れた妹の姿が無いことに気が付いた。
慌ててあたりを見渡すも、それらしき姿は見当たらず、ルルーシュは傍にいたロイドに声をかけた。
突然生徒会室にロイドが現れて以来、誰が見ているかわからないため極力他人の振りをするように心がけているが実際の二人は立派な騎士と主と言う関係であった。
「ロイド、ナナリーが見当たらないんだ。さっきまで一緒にいたのに・・・ナナリーに何かあったら・・・俺はっ!」
「ルルーシュ様、僕も探しますから・・・きっとすぐに見つけられます。だからそんなに気を落とさないで下さい!」
「ロイド・・・」
不安げに揺れる瞳を見つめながらロイドはルルーシュの手を握る。
「じゃあ僕はこっちを探しますね!」
「あぁ、頼む!俺はこっちを探す。見つけたらすぐに知らせてくれ!」
「イエス・ユア・ハイネス!」
「ナナリー?どこだ?ナナリー・・・?」
「ルルーシュ!」
「ユ、フィ・・・」
突然呼ばれてルルーシュが振り返ればそこにはユーフェミアが立っていた。
「どうして、ここに・・・?」
「探していたのよ!ルルーシュ、貴方を。」
先ほどの、特区宣言で夕方になったとはいえ混乱している学園内。何が起こるかわからない。
すでに帰ったものだと思っていたユーフェミアが現れたことにルルーシュは驚いた。
「俺、を?」
「そうなの!ねぇ、どこか静かに話せる場所は無いかしら?」
そう言われ、ルルーシュはこの場から一番近い滅多に人が来ることのないクラブハウスへと向かうことにした。
「そういえば、スザクはどうしたんだ?」
入ってすぐにそう聞く。
ユーフェミアの周りに護衛が数名付いているとはいえ、筆頭騎士であるスザクがいないのはおかしかった。
「スザクには私が起こしてしまった事で混乱した人たちを誘導してもらっているの。
ある程度落ち着くまで私は学園内で待つということになったのだけど、ずっと部屋に閉じこもっているのはつまらなくて。
この学園のどこかにルルーシュがいると思ったから、ちょっと抜け出してきたの。」
「それで・・・誰かに会わなかったのか?」
「えぇ、全く。」
「・・・もし誰かに会っていたらまた昼間の二の舞だぞ。」
もう少し周りを見て行動しろ、とそういいたかったがルルーシュはあえて言葉を飲み込み、お茶を入れるためにキッチンに向かおうと背を向ける。
「・・・ねぇ、ルルーシュ。やっぱり私と一緒に帰らない?特区のこと、思いついたのだけど、一緒にいられる方法なんて沢山あるじゃない?たとえば・・・」
「何をいって・・・?」
「そう、たとえば・・・再び皇族として戻る、とか。」
「ユーフェ・・・!!!」
何を言っているんだ。そう言おうと振り返ると軍服を着た人物が、ルルーシュの口元に何かを押し付けてくる。
「だめよ、ルルーシュ。昔みたいにユフィって呼んで?」
「きみ、は・・・」
「ね?また昔みたいに皆で星空を見上げましょう?・・・そういえば、政庁の建物の屋上にはアリエスの離宮に似せて作られた庭園が広がっているの。
クロヴィスお兄様が作らせたんですって!そこで・・・あら、ルルーシュ?・・・寝ちゃった。」
クスクス。
テーブルにうつ伏せたルルーシュをユーフェミアは嬉しそうに眺めた。
「ルルーシュ、様・・・?」
数分遅れて部屋に入ってきたロイドが見たのは、テーブルの上に置かれた何も入れられていないカップが二つ。
けれどこの部屋の主はどこにもいなかった。
舞台袖に引っ込んだユーフェミアはホッと息を付いた。
そんなユーフェミアを見つけスザクが近づく。
「お疲れ様でした、ユーフェミア様!」
「いいえスザク、私は何もしていないわ。きっと私よりも二人のほうが疲れたでしょう。久しぶりにこうした場所に出たのだもの。
それにね、この皇族服って結構疲れるものなの。」
ユーフェミアは自分の着る、ピンクのドレスの裾を小さく持ち上げると苦笑する。
「あ、そうですね!じゃあ・・・二人に挨拶に行ってきます!」
「えぇ、また後で。」
そう言って去っていくスザクの後姿をユーフェミアは嬉しそうに眺めた。
小さくノックをすれば中から声が聞こえる。
「失礼します!枢木スザクであります!」
「・・・入れ。」
「は!ありがとうございます!」
そう言って中に入れば、先ほどまでテレビに映った格好のまま窓際に立つ二人の姿があった。
スザクが入って扉を閉めれば二人は振り返る。
その動きさえも洗練されたものがあり、思わずスザクはさすが、と心の中で呟く。
「何か?」
そういったルルーシュの姿はまだ見慣れない。皇族服を纏った姿など今まで目にしたことが無かったために、新鮮だった。
「ルルーシュ、殿下・・・えと、あの・・・」
「ここには俺たちしかいない。いつもどおりでいいぞ。」
「え!あ・・・ありがとう!それで、今日は二人ともお疲れ様!疲れたでしょ?ユフィがね、言ってたんだ。
きっと久しぶりなことが多くて疲れているだろうって!それにしてもビックリしたよ!まさか二人が皇族に復帰するなんて。
やっぱりこうして中から変えていく方が正しい方法だってわかってくれたんだね。
二人とも何にも相談してくれないから・・・一言くらい言ってくれたら・・・。本当に・・・」
クスクス
柔らかい笑い声が部屋に響いた。
スザクが視線を向ければ車椅子に座る、黒いドレスに包まれたナナリーが笑っていた。
「ナナリー!」
「おかしなスザクさん。何を言っているんですか?」
「あ、ごめんね・・・もしかしてこれくらいじゃ疲れない・・・?昔からの習慣とかで、やっぱり身についていたりするの?」
「スザク。」
そうルルーシュに呼ばれ、スザクは驚いて、笑顔を僅かに崩す。
「ルルーシュ・・・?」
「お前、ここにいったい何をしに来たんだ?」
「え・・・と・・・二人が疲れていると、ユフィが言ってて・・・それで、僕は二人の様子を見に・・・でも、ユフィが心配するほど疲れていないみたい、で・・・それで」
「そうか。・・・俺はてっきり、嫌味を言いに来たのかと思ったよ。」
「えぇ。スザクさんの口からそういった言葉が出るとは思わなくて、すみません。まさか、と思ってしまいました。」
困った、とでも言うように自嘲的な笑みと共に吐き出される言葉。
当のスザクはそんなルルーシュたちに困惑する。
「どういう・・・?」
「私たちから、また何かを奪いに来たんですか?」
「なっ!そんな事、するわけないじゃないか!僕はただ・・・!」
「けれどそんな言葉も本当にそう思っていっているようには俺たちには聞こえない。」
「そうですね、なんたってユフィお姉さまの騎士ですもの。」
「さっきからユフィユフィって!二人は何が言いたいんだ!」
「・・・スザクさん、どうして私たちがここにいるのかご存知ですか?」
「え、それは、二人が自らここに来たんだろう?皇族に戻りたかったって・・・」
「スザク、それは本気で言っているのか?」
「スザクさん・・・」
突然の軽蔑した瞳を二人から向けられスザクは困惑する。
「どういう・・・?だって、君たちは、そうだって、ユフィが・・・」
「またユーフェミアか。おまえ・・・何もわかっていないんだな・・・俺たちのことも、彼女のことも。わかっているものだと思っていたのに。」
「私たちが一緒にいたのは、過去のあの一年間だけ・・・それだけではダメだったみたいですね。」
「なんでそんな事を言うんだ二人とも!君たちの事、一番分かっているよ!だって友達じゃないか!」
「わかっている、つもり・・・だろ?」
「ルルーシュ!」
スザクはルルーシュを見つめるが、ルルーシュは見たくないとでも言うように窓の外に視線をやってしまった。
「・・・ねぇ、スザクさん。スザクさんの言う『正しい方法』って何を比べてそう言っているのですか?」
「ナナリー?・・・それは・・・一般的にみんなが思う正しい方法だよ。」
「みんなって誰ですか?
一般的って・・・いったい誰と誰の言ったことなんですか?
出どころもしっかりしていないような、そんな勝手なデーターで私たちを図らないで下さい。」
「唯一わかることは『スザクの思う・・・』と前につくことだけだな。」
「そうなると、スザクさんはそう思っているってことなんですね。」
「・・・何を言っているの?二人とも。どう考えても、中から変えること以外に正しい方法なんかないだろ?!間違っているのはブリタニアの法から外れた人だ!
そう、たとえばゼロとか!・・・そういえば、ルルーシュはゼロ肯定派だったよね。あんな奴よりも、君たちにはあいつと違って中から変えることの出来る力があるんだ。
間違った方法で手に入れた世界でなんて、幸せになることなんか出来ない!そんなの意味がないんだ!
それを、ルルーシュもわかってくれたんじゃないの?だからこうして戻ろうと思ったんだろう?」
「間違った方法で手に入れたものに意味は無い、か。」
「その通りだよ!だって、テロリストがやっていることは罪の無い、抵抗もしていない人たちを無駄に殺しているだけじゃないか!」
「なら、人を騙すことも間違った事・・・だよな?」
「うん!当たり前だよ!そうやって手に入れた人物が一人、得をするなんて、間違った方法と呼ばずになんと呼ぶんだ?」
「そうか。なら俺たちにも、意味がないんだな。」
「どういう、こと?」
「だってそういうことだろう?間違った方法で手に入れたものに意味がないんだよな?
お前の言う言葉に当てはめると、そういうことになるって言ったんだ。」
「どうしてそうなるんだ!意味がわからない。」
「どうしてわからないんですか?・・・あぁ、もしかしてユフィお姉さまはスザクさんに話をしていないのかしら?」
「そうだったのか。それはすまないことをしたな。スザク。けれどそういう・・・主と騎士の関係は本当に成り立つのか?いや、成り立たせていいのか?
俺たちは皇族に戻ることは本位ではなかった。それなのに無理やりに連れ戻されたんだ。ユーフェミアの手によって!
ナナリーは攫われ、俺は薬を嗅がた。気が付けば政庁の一室に寝かされていたんだ。」
「そ、な・・・ユフィがそんなことをするわけ・・・」
「そういわれても、俺たちは実際そういうことをされてここに連れてこられたんだ。
それに俺たちがユーフェミアに逆らうことなんか出来ない。」
「なんで、だって・・・君たちは兄妹だろう?ルルーシュはユフィの・・・」
「年齢が上だからといって、それがそのまま純粋に影響されるほど、この世界は甘くない。
俺たちは皇族の中でも身分が低い。母は庶民出だったからな。母親の身分の高いユーフェミアには従わなくてはならない。
まぁ、文化の違うお前に言っても理解されないだろうがな。」
「そんな事!」
「無いといえるのか?今だって、騎士の本当の意味を知らないお前が?」
ハッ笑わせるな。と蔑むルルーシュの瞳は冷たい。
「騎士であるお前がどうしてこのことを知らない?それだけ、お前は自分の主に信用されていないということなんじゃないか?
まぁ主と騎士の関係など人それぞれ違ってくるものだ。・・・俺の物差しで計ってはいけないな。」
「えぇお兄様。シュナイゼルお兄様然り、コーネリアお姉様然り・・・私たちの知る方々と比べてはいけません。」
「あぁそうだな、ナナリーすまなかった。」
「だから、スザクさんがこの部屋に入ってきたときの言葉には驚きました。まさかスザクさんからあんな言葉が出るだなんて。
いいえ、違いますね。ユフィお姉さまの騎士だからこその言葉なのかと思いました。そういった意味では、似ているお二人なんだと感じました。
あの言葉、嫌味にしか聞こえませんでしたよ?」
「・・・でも、連れ戻された事実がそうだったとしても、誰よりも君たちはこれから中から変えていくことが出来る機会に恵まれた!そうだろう?だから頑張って・・・」
「中から変える・・・?俺が、皇帝にならなければならないということだろう?!そう簡単に口にするな!
皇族に戻された今の段階の俺の立ち位置がどんなものか、お前にはわからないからそういった言葉を簡単に口に出来るんだな。
殺されなかっただけましだ。後ろ盾も無い俺たちは、成果が残せなければすぐにまた、日本に送られたときと同じように外交の道具とされるだろうな。
それが恵まれている?全く嬉しくもない。寧ろそう言われることに虫唾が走る!」
「えぇ。お兄様が成果を残せないと言うことは決してあるはずがありませんが、そういうことが起きる可能性があったということも理解していただきたいです。」
「でも!ユフィは!そんな事をしない!だって、彼女は・・・!」
スザクが必死に二人を説き伏せようと言葉を紡ぐがうまく表現できない。言葉を探すために視線を彷徨わせていると、部屋の扉を叩く音がする。
「ロイド・アスプルンドです。」
「入れ。」
「失礼します。ルルーシュ様、ナナリー様。ユーフェミア様がお呼びです。」
「・・・そうか。今行く。」
「それでは、スザクさん。私たちは失礼しますね。」
「ルルーシュ、ナナリー・・・」
ルルーシュがナナリーの車椅子を押して部屋の入り口へと向かう。
スザクはそう、二人の名前を呼ぶが、スザクの言葉では二人は振り返らない。
けれどあと少しで部屋を出るというところでルルーシュは何かを思い出したのか、足を止めて再びスザクの方を振り返る。
「言い忘れていた。
どんな形であれ、この結果は予想していたことだ。起きてしまったことは受け入れるしかない。
そしてユーフェミアのこと、お前の知るユーフェミアが一部分だけであるということも理解しろ。
そして自分の知る理想を他の人間に押し付けるな。聞いていてイライラする。」
「そうですね、スザクさん。人の数だけ違った意見があるということも理解してください。そして周りにも、目を向けてください。」
「それからスザク、安心しろ。もうゼロは現れないぞ。
これで今まで以上に護衛としてユーフェミアの近くにいることができるようになるだろう。」
「そうすればスザクさんもきっといつか理解してくれますよね。
騎士と言うのは、どんなときも、主のそばを離れない。主を一番に理解し、そして正しいほうへ導くこと。それこそが正しい騎士の姿です。」
「だけど・・・息が詰まりそうだよ。お前と居ると。」
「ですから・・・」
「スザク。」
「スザクさん。」
スザクに対して、二人はカメラの前で見せた笑顔を貼り付けて言った。
「ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命じる。」
「ナナリー・ヴィ・ブリタニアが命じます。」
「公の場意外で、今後一切近づいたり、話しかけたりするな。」
「公の場意外で、今後一切近づいたり、話しかけたりしないで下さい。」
それだけ言うと二人はそのまま部屋を出て行ってしまった。
「ルルーシュ、ナナリー・・・」
呆然と部屋の真ん中で立っているとロイドが大きくため息をついた。
「早く出て行ってくれないかなぁ?ユーフェミア様の騎士、枢木スザク。」
「ロイド、さん。」
「君、この部屋がどこだかわかっている?ここはもうアッシュフォード学園クラブハウスにあるルルーシュ様のお部屋ではないんだ。
ここは、神聖ブリタニア帝国第十一皇子ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア様のお部屋。
主がいないのに、居続けることなんて出来ないんだよ。」
「あ、すみません!」
そう言ってスザクが慌てて部屋の入り口に向かおうとするとロイドの手によって部屋の扉は閉められた。
早く出ろと言ったのにそういった行動を取ったロイドに視線を向ければ、いつもの飄々とした笑みではなくいつか見た真剣な眼差しをこちらに向けているのに気が付いた。
「全く・・・君は。・・・一度でも主のそばを離れた僕が言えることじゃないんだけどね。
ルルーシュ様はお優しい。こんな僕を許してくださった。
だから僕は許さない。ルルーシュ様そしてナナリー様を苦しめる君たちを。」
「ロイドさん?!・・・僕はそんな事をしていない!」
「何を言っているの?スザク君。騎士の君の行いは、主であるユーフェミア様の評価にも繋がるが、主の行いは騎士である君の評価にもなるんだよ。
だってさっき言っていたでしょう?ナナリー様が。騎士というのは、間違った判断を起そうとする主を正しいほうへ導くこと。それも仕事だと。
君に出来ていたのかなぁ?ねぇ?スザク君。」
「そ、な・・・」
「騎士とはそういうものなんだよ。わかってないなぁ。前々からそう思ってはいたけど、君、騎士と言うものをちゃんと理解していないよねぇ。
それから、君たちはこれから気をつけることだよ。
この件に関して、シュナイゼル殿下はお怒りだ。そして皇帝陛下はすでにわかっておられたんだ。ルルーシュ様、ナナリー様がこのエリア11で一市民として過ごされていること。
何も無いのならば頬って置けと仰っていたらしい。そう仰られた背景にはルルーシュ様がゼロであったことが関係しているようだとシュナイゼル殿下が仰っていた。」
「ルルーシュが、ゼロ・・・?!」
「君だって知っていたんだろう?あんなに近くにいて、友達と言っていたんだから。
もしかしてそれにも気が付いていなかった?そうしたら、それは友達とは呼べないんじゃないかなぁ?」
足を止めてスザクは睨みつけたが、ロイドはそれを鼻で笑っただけで、話を続ける。
「皇帝陛下はゼロがこの先何をするのかとても楽しみにしていたんだよね。
それを壊したユーフェミア様はいったいどんな罰を受けることになるのかなぁ?
行政特区日本だっけ?皇族が、私利私欲のために動いちゃいけないって事、本当なら年齢が二桁になる前には教えられるのに。
それなのに、ユーフェミア様は現在それを理解しておられない。
本来ならもっと早く消されていただろうに。コーネリア皇女殿下もさぞかし苦労したでしょう。」
「っ!ロイドさん!」
「睨みつけてもダァメ!これはここに出入りしている貴族は皆知っていることだよぉ?
それにしてもスザク君はユーフェミア様のことを言われれば怒るのに、どうして絶望していないんだろうねぇ?
だって、君・・・信頼されていなかったんだよぉ?それって、騎士失格なんじゃなぁい?」
そうだ。と、ロイドの言葉を受けてスザクは思った。
ユーフェミアから信頼されていないといわれたのに、ルルーシュやナナリーに見放されたことの方が辛いと感じていた。
「今頃気が付いても遅いよ。大切なものを見誤った時点で君はすぐに気が付かなくてはいけなかったんだ。
見せ掛けじゃなく、本物をさぁ?
でも、良かったねぇ?ルルーシュ様に身をもって教えていただけてさぁ!
最後の『特別』・・・じっくり味わいなよぉ?」
少し遅れてその言葉を理解したときには、目の前には誰もいなかった。