基本はC.C→ルルでスザクに厳しいです。
なんだかスザクの性格を理解するのに時間かかりました。
本編見ていていったい何を考えているのかわからなくて・・・
難しいです。
そこで色々検索してみたのですが、今度はまた微妙に混乱が・・・;
悩んだ結果、こんな感じになりました;
いや、まだ混乱中ですね。ある程度固まってきているような・・・?
今日の夜に返信しますね!もう少々お待ちください;
クリーニング出さなくちゃ!
誰もが求めるのは、優しい世界。
たった一つの光 4
「ほら、来ましたよ。」
「第六皇子を・・・」
「まぁ、なんて野蛮な・・・」
「これだから、騎士候の・・・」
「さすがは庶民出ですな。」
「所詮は・・・」
スザクが道を歩けばいたるところからそうした囁き声が聞こえてくる。
視線を向ければ相手は視線を逸らし、口元を扇で隠してにこやかに微笑を浮かべる。
あの一件以来、こうして外を歩けばそういう視線を浴びせられた。
あの日以前のことは、自分は宮殿から出たことが無かったからもともとなのかどうかはわからなかった。
いずれにせよ、どれもルルーシュと母マリアンヌ、そしてナナリーのことが多く、たまにユーフェミアのことが聞こえるときもあった。
『後悔するが良い!!』
あの皇子の言葉を思い出して、思わずスザクは誰にもわからないように拳を強く握った。
悔しかった。あのときの自分の行動を後悔はしていないがあの皇子の言うとおり、誰もあの皇子を攻めるものがおらず、言われたとおりの結果がスザクを苛立たせた。
この間は、また違った皇子とその皇子の懇意にしている貴族にスザクは狩りに誘われ、領内にある森の中を愛馬と共に行った。
そこでスザクは貴族に銃で狙われ、落馬をしてしまったのだ。
どうしてそうした行いを受けなければならないのかわからなかった。
狩りに誘われたときは嬉しかったんだ。ユフィ以外の皇族とあったことが無かったから、他の皇子に会えることが楽しみだった。でも・・・
こうも立て続けにやられたことでスザクは『皇子』と『貴族』というものに疑心を抱いた。
自分に近寄ってくるものを疑い、常に警戒して歩くことは、精神的にかなり疲れるものだったが、そのせいで気が付いたこともあった。
今までは特に気にしてはいなかったが注意して周りを見てみれば、自分の周りにはそうした噂が溢れかえっていたことにスザクは驚いた。
「まぁ。ルルーシュ殿下ではありませんか?」
突然そう声をかけられて、振り返れば綺麗に整われた庭園と、豪華なドレスに身を包まれた少女が立っていた。
「お久しぶりです、第四皇女ソフィア殿下。」
「えぇ。」
ユーフェミアの持つ、アルバムで見たことのある皇女だった。金色の髪をサラリと背中に垂らして穏やかに微笑む少女。
名前も、ユーフェミアから聞かされていたために、すんなりと口から出すことが出来た。
「一緒にお茶をしませんか?」
向ける視線の先には庭に置かれたテーブルとティーセット。
「これからどこかに行かれる予定でしたの?」
「はい、すこし図書館に向かおうと思っておりました。」
「まぁ、それでしたらわたくし、とても悪いことをしてしまいましたね。」
「いえ、特に急ぎの用と言うわけではありませんでしたので、大丈夫です。」
「そうですか。・・・そういえば・・・最近良くない噂を耳にします。ルルーシュ殿下も大変でしょう。お母様が良い家の出でしたら、もう少し立場が違っていたでしょうが・・・」
「しかし、家柄は関係ありません。家柄で個人が評価されるわけではありませんので。」
スザクがそう言うと、わずかに皇女の表情が固まったのが見えた。しかしそれもすぐに消え、先ほどと同じような笑みを口元に乗せた。
「けれど、それも評価の対象になります。それに良き家来を手にするには家柄があってこそ。
今後、政に参加するようになったときに家柄は重要な要素になってきますから。やはり庶民出というのは何かと・・・」
「・・・ですが、自らの力を示していけば良いと私は思っております。」
何度も繰り返されるニュアンスに思わずスザクは眉を寄せる。
憮然とした態度でそう答えれば、目の前の皇女は小さくため息を吐きながら首をかしげた。
「そうですか。やはり考え方もお母上がお母上だと、わたくしの理解できない方に育ってしまうのかしら。」
「また家柄!そんなに母が庶民出であることがいけないのですか!」
思わず声を張り上げれば先ほどまでの穏やかな話し方は息を潜め、蔑むような視線と冷たい声で皇女はスザクを見据える。
「えぇ。いけませんね。わたくしたちの血を汚したことにしかなりませんから。
ブリタニアの血、特に皇族であるわたくしたちは最高の血族です。そこに庶民の、穢れた血が混ざるなんて。」
「穢れた?!穢れたとか、穢れていないとか、そんなところで人を差別するなんて、間違っている!」
「間違っている、だなんてわたくしに言われても。間違っているのだとしたらあなたの考えが間違っているのですよ。
それよりも最近、高位な方々に懇意にされているようですけど、どうやって取り入ったのかしら。教えていただけない?ルルーシュ殿下。
所詮は継承権十七位。そうでもしなければ生き残る道は無いものね。でも、そうして手に入れるところは、とてもお母上にそっくり。そういった教育だけはしっかりとされているのね。
まぁ、そうしたらわたくしにはマネの出来ないことになりますわね。」
「何を・・・っ!皇女、殿下・・・?こ、れ・・・」
思わずスザクは自らの持つ紅茶の入った白いカップへと視線を向ける。
その姿にニコリと笑うのは目の前の皇女。
「特にその中でも第三皇女ユーフェミア様があなたを気に入っているようですけど、自らの行動には気をつけたほうが良くてよ?
あなたはそこでもがき苦しんでいればいいわ。何よりわたくしのお兄様を殴るだなんて。
あなたたちなんて、すぐに誰かが捻り潰せるほどの小さな存在でしかないのだから。」
「お、兄様・・・?」
そういう目の前の少女を改めてみればこの間ユーフェミアのことを言われて殴った皇子と目元が似ている。
兄弟、だったのか・・・
意識が朦朧とする中で考えられたのはそこまでで、スザクは手にしていたカップを地面に落としてしまった。
大きな音を立てて落ちたカップは粉々に割れた。
わずかにその音に周りのメイドたちが視線をそちらに向けるが、またすぐに何事も無かったように自らの仕事に戻っていく。
「これであなたたちが消えたら、また皇位継承権に変動が出るのかしら?
でも、あなたたちの皇位は低いから、わたくしが気にすることのものではないわね。
これではどなたかのお手伝いをしてしまったことになるのかしら。嫌だわ。」
かわいらしい声は、最後にそう締めくくると、倒れるスザクを置いてどこかに行ってしまった。
次にスザクが気が付いたのはベッドの上だった。
何でも、アリエスの離宮の玄関前に放置されていたのを使用人が見つけたそうだ。
発見されたときは意識が無く、医者を呼んで処置された。その間宮殿内は大騒ぎだったらしい。
その日から二日ほどたってからやっと気が付いたが、いまだに意識は朦朧としていた。
安静にということで、今日もベッドの上から降りることも許されていなかった。
そんな時突然、第二皇女コーネリアが勢い良く入ってきた。
スザクは今までの習慣で思わず立ち上がり、礼を取ろうとすることにコーネリアがそれを制した。
「コーネリア皇女殿下、今日は・・・」
「ルルーシュ。公ではないときは『姉』と呼ぶように以前から言っているだろう。」
「・・・姉上・・・」
「・・・まぁ良い。ルルーシュ。体は大丈夫なのか?今回はどうしたのだ。久しぶりにエリアから帰ってみれば・・・」
「それは・・・」
口をつぐめばコーネリアは微笑を浮かべてスザクの頭の上に手を置く。
「ユフィの悪口を、言われたそうだな。それで、お前が・・・」
「・・・」
「ありがとう。ユフィのことを大切に思ってくれて。」
「いえ・・・」
「しかしルルーシュ。もうこんなことをするな。」
「姉上?」
「お前にはマリアンヌ様、そしてナナリーがいる。二人を守ることを優先させるんだ。」
「しかし。」
「お前の両手で守れるだけの大きさを知れ。それはユフィを守るな、とは言わない。しかし、それではマリアンヌ様やナナリーはどうする。
お前には大切なものがあるだろう。人には限界と言うものがある。」
コーネリアの言葉は正論だった。ユーフェミアはルルーシュよりも家柄も高く、継承権の高いコーネリアと言う姉がいる。
それに比べると、十一皇子であり十七皇位継承権のルルーシュでは力不足だ。
やはりここでも家柄なのだと、スザクは自らの力ではどうにもならないことを知った。
「・・・姉上。」
「なんだ?」
「・・・どうして、皇位継承権争いなど・・・僕たちは血が繋がった兄弟ではないですか。それなのに兄弟同士で。それに家柄とかそんなの、僕たち個人に関係ないじゃないですか。
こんなの間違っていると思いませんか?!」
嫌なものを見るような目つき。それから誰も助けようとしない人たち。
自分には、兄弟と呼べるものがいなかった。
唯一、近しいものとしてカグヤがあげられるのだろうが、そういうものとは違っていたが、こんなに険悪で、卑劣な行いがされるとは、思ってもいなかった。
何より、この世界は、優しい世界。だから余計に・・・
「・・・お前はずいぶん前からわかっているものだと思っていたが。」
「え・・・」
「いや、なんでもない。・・・それが父上の定めたものであるからな。私たちは競い合わなければならない。」
「でも、こんなの・・・!」
「お前の言いたいことはわかる。しかしそれが昔から行われてきたもので、もうどうしようもないものだ。
家柄は、親や出自を選べないのと同じように、選ぶことは出来ない。そういった意味で、お前は苦労することが多いだろう。だから余計にお前は守れるものの大きさを、見誤るな。」
そう言って、クシャリと頭をなでるコーネリアの顔は、悲しそうに歪められていた。
スザクはコーネリアが宮殿を出て行くのを見送ってから、足早に部屋へと戻る。
大きな音を立てて部屋の扉を閉めると、まっすぐに鏡の前へと向かった。
「違う!間違っている!こんなの。」
ダンッ!と鏡に向かってスザクは拳を叩きつけた。
先ほどの会話で思い出すのはあの皇子や皇女の笑み。
そして、コーネリアとの会話で得られたのはスザクの欲しかった言葉ではなかった。
間違っているんだ、僕は間違っていない!
だってここはルルーシュの住んでいる世界だ。どうしてそんな世界で蔑まれ、あざ笑われ、挙句には兄弟に殺されなくちゃいけない?!
ルルーシュには似合わない!だってルルーシュは優しい、穏やかな場所が似合うんだ。
このアリエスの離宮で、ユフィやナナリーに囲まれる・・・そんな生活が・・・
『お前、本当に帰りたいと思っているのか?』
頭の中に響く少女の声。
僕は、俺は・・・ここにいたい。このままここに・・・
だって、ここには、ユフィが、ナナリーが、ルルーシュが、いる。
暖かくて穏やかで、争いなんか無い世界で・・・
あの世界は、あそこには、もうユフィも、ルルーシュも、いない。
「いない?ルルーシュ・・・が?」
・・・ルルーシュが、死んだ?違う、死んだのはゼロだ。
ゼロとルルーシュ、は・・・違う違う!
俺の知る、ルルーシュが、あんな奴と同じなわけが無い。
だって、ゼロは生きてちゃいけない。
あの世界は間違っている!ゼロがいる。そんな間違った世界になんか帰りたくない!
ここに広がる世界は優しい。
でも間違っているのは、あいつが俺に復讐しようとしている世界だからだ。
ルルーシュが俺の知らないルルーシュであるわけが無い。あの女に作られたルルーシュだから、こんな間違った世界なんだ。
『馬鹿じゃないのか?』
鼻で笑う少女の声が聞こえた気がした。
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